今回は2021年12月1日に配信された「宇宙飛行士候補者採用説明会」での内容の特に選抜方法についてまとめてみました。
これまでに公表されていた内容についてより踏み込んで発信してましたので、宇宙飛行士を目指す方はぜひ確認しましょう。
この記事は説明会での内容を文字起こしをしてまとめたものになります。
目次
選抜方法まとめ
選抜は全部で5段階に分かれており、その内容は以下のようになっています。
エントリーシート(応募資格、健康診断結果、及び健康状況申告)による審査
英語試験/【その後英語試験合格者のみ】一般教養試験(大卒の教養課程相当)、相当)、
STEM分野の試験(国家公務員採用試験総合職試験(大卒程度試験)相当)小論文、適正検査、
エントリーシート(志望動機、自分の目指す宇宙飛行士像、業務経験等)による審査
一次医学検査、医学特性検査、プレゼンテーション試験、資質特性検査、適用技量試験
二次医学検査、医学特性検査、面接試験(英語、資質特性、プレゼンテーション)
二次医学検査、医学特性検査、資質特性検査、運用技量試験、面接試験(総合、英語、プレゼンテーション)
それではここからは各STEPでの選抜の詳細についてJAXAがこれまでに発信してきた情報を各STEPごとにまとめてみました。
STEP1・書類選抜
エントリーシートで提出された内容が応募資格を満足しているかを見ている。また健康診断結果と健康状況申告の内容によって審査する。
エントリーシートと書類(健康状況申告)はウェブページから提出。健康診断結果の原本は後日提出。
STEP2・第0次選抜
応募される方が多くなることを予測して、第一次選抜に進む方の絞り込みを行うために行う。
・英語試験
宇宙飛行士候補者として海外での訓練、そして海外での業務を行うために必要なため全般的な英語力の試験を行う。
・一般教養試験
大学の教養課程に相当する、人文科学、社会科学分野を含む、広範な素養知識を評価する。
・STEM分野の試験
大学卒業程度のSTEM分野の知識、論理的思考力を評価する。
・小論文
与えられたテーマに関して、ご自身の意見とその理由を論述していただく。
・適性検査
宇宙飛行士に必要な適性について評価する。
STEP3・第一次選抜
・一次医学検査
人間ドッグ程度の検査を行う。血液検査、精神科の領域、画像診断等の検査を実施予定。
・医学特性検査
全般的なパーソナルティーを確認する。
・プレゼンテーション試験
自らの体験や成果を外部に伝える豊かな表現力と発信力を評価する。
・資質の特性検査
国際的なチームで宇宙滞在を行うために必要になる様々な特性
例)ミッション遂行能力として必要となるリーダーシップ、チームワーク等について簡易な方法で評価する。
・適用技量試験
複雑なシステムの運用者として必要とされる、状況認識、空間認識などの技量について簡易な方法で評価する。
STEP4・第二次選抜
・二次医学検査
数日掛けて実施、眼科、精神科、神経科等の検査を実施予定。
・医学特性検査
宇宙飛行士に求められる、精神心理的な特性、身体機能、注意力の特性について測定し評価する。
身体機能(体力測定)は下記方法によって測定を行う。
- ボール壁当て
1.5m先の壁に左右交互で下手投げで壁打ち - 反復横跳び
20s間の回数を測定 - 四足歩行
手足バラバラな動きを行い、運動機能を測定する。 - シャトルラン
全体の上位に入るためには男性で100回を超える必要がある。
・面接試験
英語を母国語とする試験官による評価、宇宙飛行士候補者に必要な特性の観点から質問に答えてもらう。また応募者自身によるプレゼンテーションも実施する予定。
プレゼンテーション(2022年開催)の内容(例)
- 1枚の写真の中身を30秒かけて聴く人の心に残る説明をしてください。
(表現力と伝える力を見る)
STEP5・第三次選抜
・医学検査
書類選抜以降の健康上の変化を確認
・医学特性検査、資質特性検査
第二次選抜までの評価を踏まえてある環境下による行動観察等を行う。
・運用技量試験
幅広い分野での活動に円滑かつ柔軟に対応できる能力を有しているか。危機的な事態が発生したときに、迅速かつ的確に意思決定と行動がとれるかどうかを評価する。
・面接試験
さらにJAXA役員等と面接や英語によるコミュニケーションなどについて評価する。
それぞれの試験の詳細について
第0次選抜以降の各選抜試験の詳細についてはひとつ前の段階の選抜の合格者にのみ通知する予定。
評価する8つの特性
宇宙飛行士の職務は訓練業務、搭乗業務、技術業務、アウトリーチ業務からなる、これらの業務を遂行するために宇宙飛行士候補者に求められる特性を試験と検査により評価する。また今回募集する宇宙飛行士の人物像にふさわしい候補者を選ぶために評価する内容になっている。
求められる内容についてはこれまでと大きくは違わない。今回の選抜で求められる人物像には自らの経験を世界中と共有する表現力と発信力があるため、これらの観点も評価項目になっている。
加えて宇宙飛行士の職務遂行に寄与するために傑出した固有の特性をお持ちの場合にはその内容も評価する。
- 目的意識、達成意欲
- 任務・訓練に耐えうる健康状態
- STEM分野の知識論理的思考、英語力、思考力
- ミッション遂行能力(自己管理、コミュニケーション、リーダーシップ等)緊急事態対処能力
- 進歩/変化に対応するための心身両面の適応性や強靭性
- 日本人としての誇り広範な素養・知識国際チーム員としての感度
- 外部に伝える表現力・発信力
- 高いコンプライアンス意識
特殊な環境での経験について
今回のJAXAの発表では経験についても記入する項目があるそうです。
例1):特殊な環境での業務経験
(災害地や火災・海難現場での救助活動等の差し迫った危険な環境での活動、特殊な環境での観測、天然資源探査、深海探査、南極での活動等)
例2):航空機(業務用、自家用含む)
ダイビング・登山・船舶に関する高度な専門性を有する技量(期間も)
例3):宇宙飛行士の業務に類似の運用経験等
まとめ
今回はJAXAが2021年12月1日に配信した「宇宙飛行士候補者採用説明会」の内容をまとめてみました、今までに明らかになっている内容よりも詳細な内容が公表されました。気になっている方はぜひYouTubeで一度確認してみてください。
またこちらの記事で宇宙飛行士選抜試験の筆記試験の対策本をまとめています、ぜひご覧ください。